時代はリサイクル<目的に応じて新品・中古を>
産機工と全機連(李家隆美会長)の出荷統計によると、国内メーカーのドライ機が台数で最も売れた年は1989年度。年間で3292台が販売されている。ところが昨年2001年度の販売実績をみると、何と475台となっている。台数ではあるが約7分の1になってしまったわけだ。プレス機も89年が最も売れており、8089台。これが昨年は2170台まで落ち込んでいる。
クリーニング需要が落ち込んで、なかなか機械を購入することも困難なのが実情かもしれない。しかし人件費はそう下がってはいない。機械がこなすだけの仕事を人がやったら大変なもの。やはり機械は便利なものだ。そこで「新品の機械を買うまでの予算は…」というユーザーに中古機のニーズが高まってきている。
特に最近は、不況による倒産や工場縮小などで出された機械も多く、あまり使用されていない機械も多くなっており、タイミングが良ければほとんど新品同様の機械を中古価格で購入できる。
またひと昔前は「中古機を買うのはいいが、すぐにダメになってしまうのではないか」との不安の声が聞かれた。しかし最近の中古機械はよく整備された物が多くなっており、販売する会社によっては自信をもって保証期間を設ける所さえでてきている。
されに以前は希望の機械があっても要望に合う機種を探すのが難しかった。1社が在庫する機械の台数は、限られており、要望にあった機械がすべて揃うとは限らないからだ。しかし現在は、中古機商社のネットワークグループも登場し、注文した会社に在庫がなくてもグループの情報網により要望の機械が調達しやすくなっている。より安心で、目的にあった機械が購入し易くなってきたわけだ。
さらに時代はリサイクル。資源を無駄にしないよう、使える物はできるだけ再生して使える方向に向かっている。物を捨てるのに掛かる費用は徐々に高くなってくると考えておいたほうが良い。機械メーカーでも再利用しやすい部品を使ったり、産廃のため分解しやすい機械構造に変える努力を始めている。
また「中古」に対する受け止め方も変わってきている。戦後ニッポンに育った年代は、もらい物の古着や兄弟のお下がりを着せられ「新品がほしい」と願った年代だ。しかし現在は、わざわざ古着を着たり、フリーマーケットで所有物を売買するのがブームとなっている。中古品への抵抗感も薄らいできている。クリーニング業の経営者もこうした抵抗感のない年代へ移行してきている。新品が買えないから中古というより、目的に応じて新品と中古を検討して導入する時代になってきているようだ。
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